nabejuku

なべ塾読み聞かせもくじ著者別索引


イエルク・シュタイナー
Jorg Steiner


1930年スイス生まれ、教師をしながら作家として活動。

自然破壊への警鐘、人間のエゴで、犠牲になった理不尽なものたちなどの問題を取り上げた作品が多く、 読み終わった後は、矛盾に怒りや寂しさ切なさが込み上げ、考え込むものばかりです。 挿絵は 写実的ではっきりとしており、印象に残りました。どれもお薦めの本です。


オススメ度 ★〜★★★
ふたつの島 絵・イエルク・ミュラー 訳・おおしま かおり ぽるぷ出版
海に浮かぶ、ふたつの島。大きい島には、大きな体の人がいて、貧富や身分の差があり働き者だった。 小さな島には小さな体の人がいて、歌い踊りその日生きる分だけの仕事をし、 人生を楽しんでいた。 大昔には第三の島があったらしいが、 沈んだと言い伝えられている。 ある日、大きい島で金(キン)がみつかり、欲張りな人間に、掘り尽くされ、自然が破壊していく。
荘厳な美しい島の自然が、ページをめくるたび、どんどん破壊されていきます。 歴史はくりかえすのでしょうか、非常に切ない気持ちになりました。素朴に生きることの大切さ、 物質文明の中で真実を見失わずに生きていきたいものです。
★★★


ぼくは くまのままで いたかったのに・・・・・・・
絵イエルク・ミュラー 訳・おおしま かおり ほるぷ出版
The very busy day
くまが冬眠している間に、人間は森の木を切り倒し工場を建ててしまった。 春になり 呆然としているくまに、工場の職長が「とっとと仕事につけ」と言う。 「ぼくは くまだ。」と訴えるが認められない。くまは、作業服を着、ひげをそり、タイム・レコーダーにカードをいれ、仕事をする。
ある日突然、陥った悲劇、そして 受け入れる選択肢しかなく、 不条理に流されていく非力さ、虚しさ、人間社会の身勝手さ、傲慢さ・・・。 タイトルにこめられた悲痛な叫びが聞こえるようです。
★★★


うさぎの島   絵イエルク・ミュラー 訳・おおしま かおり ほるぷ出版
うさぎの食肉工場で 長く暮らす灰色うさぎと、外から来た茶色うさぎ。 2匹は、自由を求めて工場を脱走する。 自然界の 草のにおい、陽の光、川の水の音を、灰色うさぎはすっかり忘れてしまっていた。  「うちへ帰りたい、工場ほど いい所はない」と工場へ戻る。 自由になり、自然の中を行く茶色うさぎに「幸せを祈るよ」と言いながら、、。
狭いひとつの世界しか知らず、食に不自由せず、身に迫る危険もなく 、寒暖(季節)も明暗(昼夜)もわからずに生きています。それに満足し幸せだと感じる恐ろしさは、 我々の現代生活と似ている気がします。
★★★



◆戻る   ◆もくじへ   ◆HPトップへ