雑記帳




カーフェリー


 毎年、夏休みには、家族で札幌へ帰省する。 昼食のお弁当を作って、10時半出航のカーフェリに乗るため、新潟港に行く。 主人は車を載せるので、車列に並び、私と子供達は、荷物を持って徒歩で乗船する。 船内には立派なロビーがある。そこのフロントでチェックインし、予約しておいた一等船室の鍵をもらう。 部屋は3畳ほどの和室で、ロッカーや押し入れ、洗面台、TV、ポットなどがあり、 小さい子供のいる家族には充分だ。
 荷物を部屋に置いて、車を積み終えた主人と合流し、甲板へでて出航準備を眺める。 合図とともに、船をつなぎとめていたロープがはずされる。すると 船の係員がロープを巻く機械を動かす。車を積むための橋げたが縮んでいき、船のゲートが閉じ始める。 陸と船の係員の呼吸はピッタリで、手際よい。 鮮やかで、淡々とすすみ、すぐに準備は整う。
 出航だ。スクリューが始動し、船は横に動き、離岸し始める。 「蛍の光」のBGMとともに、 「ボー」と汽笛が鳴り響く。港は 旅愁いっぱいの雰囲気になる。 別れを惜しんで、陸と船と隔てられた人々が手を振りあう。 携帯で話しながら、泣いているカップルもいる。 我々も一応、誰って事はないが、周りがそうするように、手を振る。 そして、船は白いしぶきを描きながら、あっという間に沖にでていく。
 さあ、広い船内探検スタートである。 映画館、子供のプレイルーム、ゲームセンター、卓球コーナー、売店、レストランなどがある。 探検が終わり、丁度お昼になった。 無料解放されているラウンジで、お弁当をいただく。 その後は、のんびり過ごす。部屋で、お昼寝したり映画をみたり、売店へ行ったりする。
 夕方には、日本海に沈む夕日を見ることを忘れてはいけない。 風呂にはいって眺めるのもよい。風呂は、充分な大きさがあり、シャワーは湯圧があって、 海の上にいるとは思えない。水平線に沈む夕日も見たし、風呂にもはいったしで、 後は食べて(飲んで)寝るだけだ。レストランは毎度、かわりばえしないのだが、 つまみになりそうなものを、チョイスして、お酒をいただく。 そして、何よりも重要な事は、早めに寝ることだ。 早朝、3時過ぎには放送で おこされ、4時頃には各部屋に、鍵を集めにやってくる。 (苫小牧便を選ぶと、朝はゆっくり寝ていられる。) とりあえず、日本海の波のゆりかごで快眠だ。
 早朝、放送がはいり、起きると窓の外に小樽の灯りが見えていた。 北海道にやってきた、と身が引き締まる。 下船は、家族全員で車両甲板に降り、車の中で待機する。 車両甲板には、北海道旅行にきたファミリー、おみやげをどっさり積んだ車、 用事が済んで帰るらしいトラック、荷物を運ぶトラック、引っ越しのトラック、 バイクのライダーの皆さんもいる。以前、牛を積んだトラックと 一緒だった時、車両甲板じゅうに、動物のにおいが充満していたことがあった(臭)。
 接岸し、ゲートがおろされ橋げたが伸び、下船準備が整う。 係員の指示に従って、順番通りに整然と降りていく。 船の旅もいいもんだ。そんなことを考えながら、夜明けの北海道上陸だ。
そして、そこには、懐かしい北の大地の ひんやりとした夏の朝があった。



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2003/04/21